腎臓を2つに分けるべきか?―そうすれば2人とも手術直後に腎不全に陥る。ドクさんに腎臓を残し、ベトさんには人工透析をするのはどうか?―分離手術でベトさんの傷跡は60~80cmに及ぶ。それで人工透析は考えられない。最終的に、もし2人が1つの腎臓を共有していた場合、ドクさんを助けるためベトを犠牲にすることが最も合理的な方法だ、と皆の意見が一致した。そうしなければ、2人とも死亡してしまうだろう。
共有している他の器官について、肛門、生殖器の半分ずつをそれぞれ2つに分けるべきか?多くの人はドクさんに全てを残し、ベトさんには人工肛門を設けるという案を支持した。しかしながら、各器官の半分はベトさんのものでもあり、ベトさんの神経によってコントロールされていることから、ベトさんから切り離すことで壊死しないのか、またドクさんだけでコントロールすることができるのかという疑問も上がった。
多くの医師は、中心で切断しなければ、後に神経系統が拒否反応を起こし、その部位の血流が止まってしまうだろうと述べた。膀胱の手術では、誰もがドクさんにその大部分を残してあげたかったが、もしそれで膀胱が動かなかった場合、神経因性膀胱や憩室症になる危険性があった。
肛門と大腸の奇形に関する数百の症例を参考に、アー医師は「2人の膀胱、生殖器、肛門は中心線でつながっているのではない」という結論を出した。そのため、共有している器官の全部をドクさんに残しても、ドクさんの神経でコントロールできるだろうと予測した。
最終的に、日本で撮影されたMRIとレントゲンの結果が見つかり、その画像から2人がそれぞれ自分の腎臓を持っていることが判明し、骨盤を分割する計画になった。本来、この腎臓の問題についてこれほど多くの時間を割く必要はなかったのだ。
手術計画の準備と並行して、2人を模したマネキン人形が作られ、医師たちが手術のシミュレーションをするのに役立てられた。人形を担いで手術室に入る過程で初めて、扉から双子を中に入れることができないと気づいた。市の指導者は、1か月以内に迫った手術を計画通り行うため、早急に対処するよう要請しなければならなかった。
―後編に続く―