
この時点で、敵軍は自軍の前進を阻止できなければドンナイ橋を破壊するという最終計画を立てており、その事態に備えて橋に7個の爆弾を仕掛けていた。
![]() (C) thanhnien |
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ドー氏は、橋に仕掛けられた爆弾の遠隔起爆装置を切断する目的で、敵軍の電源設備を破壊する任務に就いた。1975年4月28日未明、彼は5kgの爆薬と銃を浮き輪にくくり付け、それを背負って1km以上離れた反対側の岸まで静かに、音も立てずに泳いだ。そして、敵に気づかれることなく、痕跡を残すこともなく岸にたどり着き、電源設備を破壊することに成功した。
1975年4月30日の朝、第2軍団所属の第203装甲旅団の戦車部隊がドンナイ橋に到着した。歩兵の進軍が遅れる中、第116連隊は水上特殊部隊の大隊1隊を橋に残し、残りは戦車と共にサイゴンへ向かうことにした。
その時、司令官が「南ベトナム大統領官邸への道を知っている者はいるか?」と尋ねると、連隊長のボー・タン・シー氏は、ドー氏が官邸全体とその周辺のターゲットを事前に秘密裏に偵察するという任務に就いていたことを報告した。
こうして、ドー氏は戦車中隊長のブイ・クアン・タン氏と同乗することとなり、4月30日午前11時過ぎ、第203装甲旅団の戦車部隊が官邸に突入した。
しかし、戦車の進路は決して平坦ではなかった。地面には進撃を阻止するために土嚢が「Z」字型に積まれ、敵軍はブロックハウスから激しく反撃した。戦車が門を突破すると、ドー氏と仲間たちは戦車から飛び降り、AK銃を手に官邸内を捜索した。そして、南ベトナム政府の官僚全員が、政府執務室の楕円形のテーブルを囲んで座っているのを発見した。