今から40年前の1975年4月30日、サイゴンの南ベトナム大統領官邸(現在のホーチミン市の「統一会堂」)の正門に2台の戦車が突入し、サイゴンが陥落した。これにより、長く続いたベトナム戦争が終結した。
(C) vnexpress, 脱出を求めて殺到する人々 |
(C) vnexpress, 大統領官邸に突入する瞬間 |
サイゴン陥落前、最後の48時間を振り返ると、街には静けさと恐怖の入り混じった空気が漂っていた。数千人がサイゴンを脱出しようとする一方で、いつも通りの生活を送る人々もいた。
1975年4月28日、サイゴンは南ベトナム解放民族戦線の指揮下に入っていた。米国のヘリコプターや軍用機、小船などがひっきりなしに脱出者を乗せて、サイゴン市内と沖合いに待機する空母や大型艦艇の間を往復していた。大人から赤ん坊まで、多くの脱出者が列を成して自分の番を待った。米軍の空母は脱出者を次々に受け入れ、脱出は30日早朝まで続いた。
緊迫した状況の一方、サイゴンに残った人々は、米軍が残して行った段ボールや物資をかき集め、生活の糧として持ち帰るなどし、日常生活を続けていたという。
30日午前、前日に就任したばかりのズオン・バン・ミン大統領が、大統領官邸から南ベトナム国営テレビとラジオでベトナム戦争の終結と無条件降伏を宣言。同日午前11時30分ごろ、ベトナム人民軍(北ベトナム軍)の戦車が大統領官邸に突入し、正午にサイゴンが陥落。ベトナムの歴史に「南北統一」という劇的な出来事を刻んだ。