- テクノロジーと手作業を駆使、写真復元
- 解放軍の戦車に座る歩兵2人の身元特定へ
- 写真700枚を寄贈、突入シーンの映像化も
1990年代生まれのリーダーを中心とする写真復元グループが、テクノロジーと手作業を駆使し、1975年4月30日に統一会堂(旧南ベトナム大統領官邸)に戦車が突入する歴史的瞬間を捉えた写真をカラー復元し、歩兵2人の身元を特定しようと取り組んでいる。
![]() (C) tienphong |
「スカイライン(Skyline)」というグループのリーダーを務めるフン・クアン・チュン(Phung Quang Trung)さんが、かつてその戦車を操縦した元兵士たちから特別な依頼を受けたのは、3月初旬のことだった。
1975年4月30日に統一会堂に突入した解放軍の戦車846号の前部に座る歩兵2人の身元を特定したい、という依頼だった。
チュンさんは、元兵士たちとの会話を通じ、彼らの長年の思いを理解するようになった。平和が訪れた後、戦車846号の乗組員たちは再会する機会は何度もあったものの、戦車に同乗していた歩兵2人の身元だけが、ずっとわからなかったという。
復元作業の着手に先立ちチュンさんは、この写真を撮影したベトナム通信社の元社長であるジャーナリストのチャン・マイ・フオン(Tran Mai Huong)氏に連絡を取った。またチュンさんはSNSに「歴史の瞬間を探して…」というタイトルで記事を投稿。この記事は約100万人に届き、多数シェアされるなど大きな反響を呼んだ。
チュンさんによると、写真復元の過程では人工知能(AI)技術を活用したが、細部の修復には手作業も必要だった。
「写真に写る2人の歩兵の身元を特定し、来るこの4月に、私たちの感謝の気持ちとして、ご本人やご家族に復元した写真を直接お届けしたいです」 とチュンさんは言う。
歴史的な瞬間を共有するため、チュンさんは戦車846号の写真を700枚印刷し寄贈したほか、若い世代の教育材料として活用できるよう、復元・カラー化した画像ファイルを公開した。写真だけでなく、AIを用いて戦車846号が統一会堂の門に突入するシーンの映像化も行った。
チュンさん率いるチームは他にも、南部解放・南北統一50周年を記念するさまざまな歴史復元プロジェクトに取り組んでいる。