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家族捜しのプロジェクトを通じて、チュットさんがビーさんに提供した情報はあいまいでつぎはぎだった。しかし、チュットさんの情報を投稿してからわずか20分後に奇跡が起きた。ダットと名乗る男性から連絡が入り、電話で話をすることになったのだ。最初の会話で双方の情報はぴったり一致した。おかげで家族全員が再会することができ、皆が涙を流して喜んだ。
ビーさんによれば、依頼人の多くは海外で暮らす在外ベトナム人(越僑)で、ベトナム語でコミュニケーションをとることはできないものの、戦争で生き別れた実の両親を捜したいと願って依頼してくるのだという。
「受けた依頼の20%ほどは、越僑が家族を捜しているというケースです。ベトナム国内で生きている家族を捜すほうが、海外で行方不明になっている人を捜すよりも簡単です。ベトナム国内であれば、ベトナム人コミュニティがあっという間に情報を拡散してくれますから」とビーさんは語る。
一方で、多くのケースは何年もかかってようやく見つけることができる。はたまた、望んだ結果がいまだに得られていないケースもある。
ビーさんが今でも残念に思っているケースの1つは、ベトナム系米国人の女性からの依頼だ。ビーさんによれば、この女性は40年もの間、行方不明になった子供を捜してあちこちでたくさんのチラシを印刷し、配布してきたのだという。
「行方不明だった人と、その家族と思われる人を何度もつないできました。会話を経て、双方のあらゆる情報が一致していたので、お互いにようやく捜していた本人が見つかったと涙を流しました。私も安堵のため息をつきました。でも、DNA鑑定の結果が一致しなかったんです」。