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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴う社会的隔離措置により、ホーチミン市内の路線バスの運行が停止されてから4か月余りの間、多くの運転手や車掌は仕事もお金もなく、故郷に帰ることも家賃を支払うこともできず、バスの車内で生活し、運行再開の日を待ちわびている。
ベトナム国家大学ホーチミン市校のバスターミナルは、以前のように次々とバスが行き交い、乗客が車内にぎゅうぎゅうに乗り込む賑やかな様子はなく、バスは休眠状態で寂しい光景が広がっている。
バスターミナルには多くの運転手や車掌がいて、長らく運行がないにもかかわらず、ほとんどが制服を着ている。理由をたずねると、運行していたころは1日中働いてバスと自宅の間を往復するだけで、買い物に行くこともほとんどなく、手持ちの私服がないためだという。
故郷に帰るにも検査などの費用がかかり、隔離も受けなければならない上、第3波までのように1~2か月も我慢すれば元の生活に戻れるだろうと考えていた多くの運転手や車掌は、ホーチミン市に残ることを選んだ。しかし、今回の第4波は思いのほか長引き、路線バスの運行が停止された6月20日からバスターミナルで立ち往生している。
ハノイ市出身のマイ・タイ・クオンさん(男性・52歳)は、ハノイ市に妻と幼い2人の子供がいる。故郷では経済的に厳しく、2年前からクオンさんがホーチミン市に出稼ぎに行って路線バスの車掌をしているが、いまだに会社と正式な労働契約は結んでいない。以前は部屋を借りていたが、第4波が広がってからは支払いが難しくなり、部屋を引き払い、バスの車内に泊まらせてもらっている。
6月19日の夜、ホーチミン市当局は市内の全ての路線バスの運行を一時停止することを決定した。そして翌20日、53番バスが最後の運行を終えてベトナム国家大学ホーチミン市校のバスターミナルに到着して以来、クオンさんはここで生活している。
バスの車内には水も電気もない。雨水を集めてペットボトルに入れて保管し、水浴びや洗濯、料理など生活用として使っている。