- ベトナムからジエン商工相が代表で出席
- 米国の関税措置の影響を分析・共有
- 域内経済と国民生活を守る戦略的対応議論
米国の関税政策に関する東南アジア諸国連合(ASEAN)の特別経済大臣会合が10日午前にオンライン形式で開催され、2025年のASEAN議長国であるマレーシアが議長を務めた。ベトナムからはグエン・ホン・ジエン商工相が代表として出席し、発言した。
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会合の背景には、米国が180以上の国・地域に一律10%の関税を課した上で、国・地域ごとに異なる税率を上乗せする措置を発表したことがある。ベトナムには46%の相互関税が課され、この税率はカンボジアの49%を下回るものの、タイの36%、インドネシアの32%、マレーシアの24%、フィリピンの17%といった他の東南アジア諸国の税率を大幅に上回っている。
会合では、ASEAN各国の経済大臣が、米国の一方的な関税措置の影響を分析・共有し、域内経済と国民生活を守るための戦略的対応について議論した。
ジエン商工相は、ベトナムが米国との対話・交渉を積極的に進めていることを強調し、包括的かつ柔軟、現実的なアプローチが必要だとした。ASEANとしても外部のパートナーとの協力を強化し、経済の自立性向上やサプライチェーンの多様化を推進すべきだと訴え、既存の自由貿易協定(FTA)、特にASEAN自由貿易地域(AFTA)の物品貿易に関する協定(ATIGA)の活用強化を提案した。
会議の末に、米国の関税措置に対するASEANとしての共通認識を示す共同声明が採択された。声明では、ASEAN・米国間のパートナーシップの重要性、公正で持続可能な貿易体制の支持、建設的な対話の継続、相互利益に基づく協力推進が確認された。
なお、ドナルド・トランプ米大統領は米国現地時間9日、貿易相手国に対する相互関税について、国・地域ごとに設定した上乗せ分を90日間停止すると発表した。一方で、一律10%の基本関税は維持し、中国に対しては追加関税を125%に引き上げる。今回の一時停止措置の対象には、ベトナムも含まれている。