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ホーチミン市には、人生の半分以上の時間を他人の顔や頭髪を美しく整えることに費やしてきた人々がいる。路上床屋には、看板もなければ最新の備品もなく、使い古された革張りの肘掛け椅子と、古びた鏡、そして仕事道具があるだけだ。
長きにわたり、路上床屋はホーチミン市の独特な文化の創造に貢献してきた。
黄金期は過ぎたものの、ホーチミン市には今もなお、路上床屋の仕事を続けている人々がいる。彼らにとって、この仕事は生計を立てる手段というだけでなく、手放すことのできない誇りと情熱でもあるのだ。
ホーチミン市の路上床屋は、3区のゴトイニエム(Ngo Thoi Nhiem)通りや1区のトンドゥックタン(Ton Duc Thang)通り、同じく1区のグエンビンキエム(Nguyen Binh Khiem)通りなどに点在している。
チン・バン・ホアさん(男性・67歳)は毎日、ホーチミン市直轄トゥードゥック市から20km余りの道のりを自転車で走り、3区ゴトイニエム通りの角の定位置に出勤する。
ホアさんは、この仕事をして30年余りになる。これまでに何千人もの客の髪を切り、ホーチミン市の様々な移り変わりを目撃してきた。
ホアさんは、かつては1区ベンタイン市場の門のそばで路上床屋を開いていたが、1区チュオンディン(Truong Dinh)通りやトゥードゥック市に移った後、ここ数年はゴトイニエム通りに店を出している。
人々の生活が現代化する中、今やホアさんの客は1日に2~3人しかいない。日によっては0人ということもある。60代後半になったホアさんは、手足も弱り、作業も遅くなってきたため、客も来店を躊躇してしまうようだ。
それでも、この仕事のおかげでホアさんは3人の子供を立派に育て上げた。子供が成人してからというもの、路上床屋の仕事は老後の楽しみになっている。
「同業者は皆それぞれカットの仕方が違います。私もお客さんの顔の輪郭や体型に合わせてヘアスタイルを提案し、カットしています。最近のヘアスタイルには慣れていないので、昔ながらのヘアスタイルになってしまいますが、幸いにもお客さんが文句を言うこともなく、私を応援しに立ち寄ってくださるんです」とホアさんは笑う。