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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を乗り越え、100年以上の歴史を有する工芸村の1つで「バインチャン(banh trang=ライスペーパー)村」と呼ばれる南部メコンデルタ地方ビンロン省チャーオン郡ルックシータイン村のクーラオマイは、テト(旧正月)を前に大忙しだ。
ルックシータイン村タンタイン村落に暮らすチャン・ティ・トゥイ・リエウさん(女性・58歳)によると、ライスペーパー作りはリエウさんの義祖母から義母へ、義母からリエウさんへと3代受け継がれ、3代の家族を養ってきた家業だ。ライスペーパー作りと夫の大工の仕事で夫婦は2人の子供を育て上げた。
「かつてのライスペーパーはそれほど多様ではなく、水に浸して使うシンプルなタイプと、塩味がついた柔らかいタイプの2種類しかありませんでした。あるとき、カントー市(南部メコンデルタ地方)にライスペーパーを売りに行きながら、こんなに苦労して売らなければならないのなら、もっとたくさん買ってもらえるように色々な種類のライスペーパーを作ればいいのではないかと思いついたんです。それで昼も夜もレシピを探し、何度も失敗を重ねた後に甘いライスペーパーや焼いたライスペーパーを作り出しました」とリエウさん。
リエウさんは、ライスペーパーは美味しいだけでなく見た目も魅力的でなければならないのだと付け加えた。そこでリエウさんは、ドラゴンフルーツやパンダンリーフ、トウガラシなど様々な原料を使いながらも、ココナッツミルクやゴマの昔ながらの風味を残したライスペーパーを生み出していった。
「新型コロナのピーク時は、移動も難しく、売れないのではないかと思ってあまり作りませんでした。でも、テトが近付いた今は作っても作っても追いつきません。毎日約500枚を出荷していますが、その日のうちに売り切れてしまいます」とリエウさんは語る。