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同じくタンタイン村落に暮らすグエン・タイン・キエムさん(男性・66歳)の家族も60年以上にわたりライスペーパー作りを家業としている。キエムさんによると、新型コロナ禍の今は誰もが経済的に厳しく雇われ仕事をしているため、ライスペーパー作りの工員を探すのはとても難しいという。
そのため、キエムさんと妻の2人だけで作業をし、毎日400~500枚を出荷している。「ライスペーパーを作るためには、朝4時から夜9時まで作業をしてようやくお客さんに届けられます。一方で、種類によっては早く干したからといって日照りが足りなければしわが寄ってしまい、不良品に見えてしまうんです」とキエムさん。
キエムさんの収入は1日20万~30万VND(約1000~1500円)程度と、苦労の割に厳しいものの、この仕事で5人を育て上げた伝統的な家業であるため、この仕事を辞めるつもりはないのだという。
キエムさん夫妻には5人の子どもがいるが、誰も後を継ぎたがらず、キエムさんは家業の伝統が途絶えてしまうのではないかと心配している。「子どもたちは学業を終えてからそれぞれ別のところで働いてそれぞれ家庭を持っているので、誰も家業を継ごうとしません。私が死んだらもう終わりでしょう。この仕事はとても大変ですが、その割に収入は多くありませんから」とキエムさんは物憂げに語る。
先のリエウさんも同じく、子ども2人のどちらも後を継ぎたがらず、3代続く家業の後継者がいないことを心配している。「子ども2人はもう大人で、それぞれ仕事があります。子どもたちは寝る間も惜しんで働く私たちを見てきたこともあり、自分たちが養うから仕事を辞めるよう私たちに言いますが、私は嫌なんです。まだ働きたいし、後を継いでくれる人を見つけたいと思っています」とリエウさんは話す。