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「ホーチミン市には1年を通して仕事がありますが、ロープ作りで走るのに十分な面積の、さらに賃料の安い土地を見つけるのはとても難しいんです。せっかく良い場所を見つけても、住み始めて間もなく土地の所有者から倉庫や貸し部屋、駐車場などを建てるために立ち退きを命じられます。その方が所有者にとって利益が大きいからです」とレーさん。
現在、夫妻はビンタン区リエンクー(Lien Khu)4-5通りに住まいとロープ作りのための土地を借りており、賃料は1か月200万VND(約9900円)だ。以前、この地域には夫妻と同郷で同じくロープ作りの仕事をしている家庭が11世帯住んでいたが、賃料が高すぎるという理由でほとんどが引っ越してしまい、現在は4世帯しか残っていない。
「4か月間続いた社会的隔離措置で、貯金を全て使い果たしてしまいました。4か月分の電気代も未払いのままです。最近、土地所有者がここに来て土地をずっと見ているので、恐らくこの土地もそろそろ売るんだと思います。いつまでここに居られるかもわかりません……」とレーさんはまたため息をついた。
早朝5時から夕方5時まで走り続ける生活のため、レーさん夫妻は毎晩頭痛がして眠りづらくなった。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が発生する前は、2023年には故郷のアンザン省に戻り、孫たちの世話をして老後を過ごすことを考えていたというが、新型コロナの流行により、レーさんは考えを変えた。
「あと5~7年は走り続けないと、故郷に帰って暮らすお金もありません。ただ走り続けるだけです。この土地から追い出されたら、他の土地を借りるしかありません。自分自身が努力を続ければ、天はきっと見ていてくれるはずです」とレーさんは語る。