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南部メコンデルタ地方アンザン省出身で、現在はホーチミン市ビンタン区に住むボー・バン・レーさん(男性・64歳)は、毎日10km以上走り、1日に15万VND(約710円)を稼いでいる。この21年間、低収入で苦労してきたが、それでも「走らなければ食べられない」と、レーさんは走り続ける。
朝5時、目覚まし時計の大きな音が鳴り響き、ロープの紐の束を作るために1日中走り続けるレー夫妻のハードな1日が始まる。
夫妻はまず、絹のように絡み合った細い紐を解くと、それらの紐を引っ張りながら走り、パターンに従って長く大きな束にまとめていく。簡単そうに聞こえるが、実際には「汗をかき、涙を流す」ほどの大変な工程をいくつも経なければならない。
「この紐を解くのは大変です。途中で切れたり複雑に絡まり合ったりしているので立ったまま1つ1つほどいていくのですが、とても時間がかかります。短気な人だったらこの仕事はできないでしょう。紐を解き終わったら、熊手のような櫛状の道具に30本ずつ引っかけます」。58歳になるレーさんの妻のクイン・ティ・マーさんは最初の工程について教えてくれた。
絡んだ髪の毛をとかすように細い紐を解いていく作業に苦労した後、妻のマーさんはいったん自分の作業を休憩し、続いて夫のレーさんがシャツの裾をまくり上げ、解いた紐を引っ張りながら走り出す。
「紐を引っ張りながら走るのは一番大変な工程です。暑い日差しの中で行ったり来たりするので、身体じゅう汗びっしょりで、頭痛やめまいも頻繁に起こります。暑い日もしんどいですが、雨の日は走ることができないのでお金が稼げません」とレーさん。
レーさんは紐を結びつけた木の棒を引き、庭に設置した台に紐を引っかけるため、勢いよく400m走る。今年64歳になるレーさんだが、1日で10km以上走ることもあるという。