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農作業と仕事の傍ら、昼には食事の準備のために家に立ち寄る多忙な妻のために、ビンさんは自力で入浴し、食事の準備を手伝うよう努力している。娘が学校から家に帰ると、暖かいご飯とスープが準備されており、部屋はきれいに掃除されている。
ホアさんは夫が作ったご飯のおかげで太ってしまったわ、とよく冗談を言い、「私がたくさん食べて元気でいないと、あなたを抱えて運ぶことができないでしょう?」と大きな声で笑った。
ホアさんは長年にわたり雇われ仕事をしてきたが、夫婦で話し合い、ここ1年程は自宅で地元の人向けに農産物や雑貨を売って生計を立てている。時には鶏や苗を、またその他の生活必需品を売ることもある。
ビンさんは自身のウェブサイトに文章を書き、ホアさんは商品を運ぶ。2人は楽しく過ごし、大声で言い争うこともない。月の収入は、家族の食費とビンさんの入院費として銀行から借りた資金の返済にも十分な額だ。
昨年、あるボランティアプログラムを通じて、ビンさん家族は非政府組織(NGO)と慈善家により、元の古い土壁の家の土地に新しい家を建てることができた。洗面所と台所が分かれているので車椅子でも移動しやすく、とても便利になった。
魚料理が好きなホアさんのため、ビンさんはネットの情報を色々と探し、以前はほとんど立ち入ることのなかった台所で料理をする。今では魚の煮込みが得意で、妻も絶賛する程の出来栄えだ。料理に加え、最近はハミングで歌ったり、笛を吹くことも楽しんでいる。
新しい家の中で、ビンさんは壁に掛かっているひょうたんの笛を手に取り、埃を払ってから口元に近付け、吹き始めた。昼間、笛の音は甲高く明快に、時に優しく穏やかに音色を響かせた。ビンさんはこの笛の演奏を妻の誕生日プレゼントのためビデオに収めた。
そして笛を置くと、7歳になる娘を台所に呼び、一緒に誕生日ケーキを焼いた。「これからも手を取り合いながら子どもを見守っていこうね。いつも隣にいてくれてありがとう」というメッセージを添えて。