(C)Tuoi tre,TR.N、ギア氏(右)とサッカーの王様ペレ 写真の拡大 |
ブラジルの越僑社会にはずいぶん以前から、「一にギア、二にレー、三にクアン」と口コミで伝わっている言葉がある。尊敬に値する3人の名前を挙げたものだ。
ブラジルの最大都市サンパウロから20キロ離れたサンマテウスで、履き物やリュックサックなどを生産する会社ゴーク(Gooc)を経営するタイ・クアン・ギアさん(56歳)こそ、第一に挙げられている人物だ。
ギアさんは1979年、22歳の時にリオデジャネイロに渡り、スラム街で数年間暮らしながらポルトガル語や仕事を学んだ。ベトナムでフランス語を学んでいたため、地元の図書館に通いポルトガル語・フランス語辞書を使って、自家製のポルトガル語・ベトナム語辞書を作った。この辞書は言葉に困っていた多くのベトナム人の助けになった。
1986年にサンパウロでかばん製造ブームが起き、ギアさんもその波に乗って販売から製造へと舵を切り、製造販売会社を設立した。会社経営で得た利益で、サンパウロのマッケンジー大学に入学。2002年に卒業した後は、見聞を広めるために2か月間世界一周旅行をした。
久しぶりにベトナムに里帰りした際、ギアさんはベトナム戦争時代に軍隊で利用されていた古タイヤのゴム製サンダルに目を付ける。ブラジルに帰り、2004年に「ゴーク」ブランドを立ち上げてゴム製サンダルの販売を開始すると大当たりし、従業員500人を抱え、年間3000万ドル(約30億6000万円)以上を売り上げる企業に成長した。2009年にはサッカーの王様ペレを広告キャラクターに起用した。