[特集]
ブラジルで成功の越僑実業家、七転び八起き人生
2014/07/06 07:28 JST更新
(C)Tuoi tre,TR.N、ギア氏(右)とサッカーの王様ペレ |
ブラジルの越僑社会にはずいぶん以前から、「一にギア、二にレー、三にクアン」と口コミで伝わっている言葉がある。尊敬に値する3人の名前を挙げたものだ。
ブラジルの最大都市サンパウロから20キロ離れたサンマテウスで、履き物やリュックサックなどを生産する会社ゴーク(Gooc)を経営するタイ・クアン・ギアさん(56歳)こそ、第一に挙げられている人物だ。
ギアさんは1979年、22歳の時にリオデジャネイロに渡り、スラム街で数年間暮らしながらポルトガル語や仕事を学んだ。ベトナムでフランス語を学んでいたため、地元の図書館に通いポルトガル語・フランス語辞書を使って、自家製のポルトガル語・ベトナム語辞書を作った。この辞書は言葉に困っていた多くのベトナム人の助けになった。
1986年にサンパウロでかばん製造ブームが起き、ギアさんもその波に乗って販売から製造へと舵を切り、製造販売会社を設立した。会社経営で得た利益で、サンパウロのマッケンジー大学に入学。2002年に卒業した後は、見聞を広めるために2か月間世界一周旅行をした。
久しぶりにベトナムに里帰りした際、ギアさんはベトナム戦争時代に軍隊で利用されていた古タイヤのゴム製サンダルに目を付ける。ブラジルに帰り、2004年に「ゴーク」ブランドを立ち上げてゴム製サンダルの販売を開始すると大当たりし、従業員500人を抱え、年間3000万ドル(約30億6000万円)以上を売り上げる企業に成長した。2009年にはサッカーの王様ペレを広告キャラクターに起用した。
しかしこの間、全て順調だったかというとそうではない。ギアさんは1992年に強盗に遭い、6発もの銃弾を浴びている。家の近くの公園を散歩していた時、強盗に手、首、胸、腹、頭部を撃たれたが、奇跡的に命を取りとめた。
さらに2011年9月には、6600平方メートルの製造工場が全焼し、原材料や引き渡すばかりになっていた商品も灰になってしまった。損害額は約500万ドル(約5億1000万円)だった。しかし一度死の淵から蘇ったことのあるギアさんは、今回もめげなかった。翌日には別の場所を借りていた。過去に資金面で支援したことのあるベトナム人が、今度は工場の再建資金を貸す側に回った。
こうしてゴーク社は復活した。今もゴムサンダルが主力商品で生産量の7割を占める。2割はリュックや財布、残りはスポーツシューズだ。消費者の好みを探るために、サンパウロ中心街に2軒の店舗を出店している。
ゴークブランドの環境にやさしいゴムサンダルは、この10年間に2000万足を売り上げた。ギアさんは「人生を閉じるまでに、1億足の売り上げ達成が夢」と語った。
[Tuoi tre online,28/06/2014 10:54 (GMT + 7),O]
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