(C)Nguoi lao dong、母トラ「ミー」と子トラ達 写真の拡大 |
サイゴン動物園は今年、立て続けにトラの赤ちゃん誕生という喜びに包まれた。2月に5頭、4月に4頭が生まれ、すくすくと育っている。たかがトラの出産と言うなかれ。猛獣の飼育には苦労が多く、出産成功は大きな成果と言えるものだ。
サイゴン動物園で30年近く猛獣飼育係を務めているチャン・ミン・タムさんは、2組のトラの出産にも携わった。タムさんによると、猛獣は飼育されて大人しそうに見えても、野生動物としての本能はなくなっておらず、いつ人を襲ってくるかも分からない。飼育係にとって最も大切なのは、常に警戒心を高く保ち、最大限注意深く行動することだという。
さらに飼育係は動物の個体毎の性格や心理を把握して、世話の方法をそれに合わせなければならない。特に繁殖期は普段とは異なる興奮状態になるため、危険度が増すという。
タムさんは毎朝、小さな檻にいったんトラを入れ、大きな檻の掃除をする。その後、トラの様子を注意深く観察する。「変わったところがないかチェックしています。何かあればすぐに獣医に連絡して診察してもらいます」
2月に5頭の赤ちゃんを産んだのはインドシナトラの「ミー」で、一度に5頭も産まれるのはこの動物園では20年以上なかったことだという。インドシナトラの出産自体が難しく、うまくいっても2~3頭止まり。トラの寿命は約15年とされ、ミーが10歳であることを考慮すれば奇跡にも近い。