[特集]
トラの赤ちゃん誕生に貢献した猛獣飼育係員達
2014/06/22 07:35 JST更新
(C)Nguoi lao dong、母トラ「ミー」と子トラ達 |
サイゴン動物園は今年、立て続けにトラの赤ちゃん誕生という喜びに包まれた。2月に5頭、4月に4頭が生まれ、すくすくと育っている。たかがトラの出産と言うなかれ。猛獣の飼育には苦労が多く、出産成功は大きな成果と言えるものだ。
サイゴン動物園で30年近く猛獣飼育係を務めているチャン・ミン・タムさんは、2組のトラの出産にも携わった。タムさんによると、猛獣は飼育されて大人しそうに見えても、野生動物としての本能はなくなっておらず、いつ人を襲ってくるかも分からない。飼育係にとって最も大切なのは、常に警戒心を高く保ち、最大限注意深く行動することだという。
さらに飼育係は動物の個体毎の性格や心理を把握して、世話の方法をそれに合わせなければならない。特に繁殖期は普段とは異なる興奮状態になるため、危険度が増すという。
タムさんは毎朝、小さな檻にいったんトラを入れ、大きな檻の掃除をする。その後、トラの様子を注意深く観察する。「変わったところがないかチェックしています。何かあればすぐに獣医に連絡して診察してもらいます」
2月に5頭の赤ちゃんを産んだのはインドシナトラの「ミー」で、一度に5頭も産まれるのはこの動物園では20年以上なかったことだという。インドシナトラの出産自体が難しく、うまくいっても2~3頭止まり。トラの寿命は約15年とされ、ミーが10歳であることを考慮すれば奇跡にも近い。
ミーはこれまで何度も繁殖が試みられていたが、成功しなかった。飼育係と獣医が原因を話し合い、外部からの影響を強く受ける鉄の檻の環境が問題ではないかと仮説を立てた。透明板を使った檻の建設が認められ完成すると、さっそくミーとたくましいオスのトラが入れられた。すると2か月後に、ミーに妊娠の兆候が現れた。
すぐにミーのために特別体制が敷かれ、出産まで飼育係が交代で見守ることになった。出産予定日の4~5日前からは24時間体制で、カメラ画面を観察した。画面で見えない位置にいる時間が長いと、檻まで走って状態を確認した。
赤ちゃんが無事に生まれてもまだ気が抜けない。親トラはしばらくの間、誰も赤ちゃんに近づけない。1か月経てば子トラの成長度合いを検査できるようになるが、検査した後は子トラ自身の小便を体に塗りつけてから母トラの元に返す。そうしないと母トラが殺してしまう恐れがあるためだ。
猛獣飼育係員のティエンさんは、猛獣の飼育で重要なことは、注意深く一定の限度を保って接することだと話す。外部からのちょっとした刺激や影響で危険になり得る。「飼育係の我々でさえ檻の扉に近付くと、彼らは敏感に反応して体を起こします」
[Nguoi lao dong online,07/06/2014 22:42,O]
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