ホーチミン市内にはフランス統治時代に植えられた樹齢70年以上の街路樹が至るところにある。しかし当時東洋のプチパリと言われたサイゴンの代名詞でもあるこれらの街路樹が時に凶器となる事故が絶えない。
雨季になると突発的な風を伴ったスコールが街を襲い、地面をコンクリートに固められわずかに露出している地表から20m以上も高く伸びた街路樹を大きくゆすり、根元から倒してゆく。今年の雨季開始(5月)からこれまでに市内で300件以上の倒木事故が起きており、そのうちこれまでに2人が死亡、4人が重軽傷を負っている。
特に交差点付近にある街路樹が倒れ信号待ちをしていたバイク・車に倒れ下敷きになる事故が最も危険で、信号待ちでバイクとバイクがぎっしり詰まった状態で街路樹が倒れれば被害は一気に膨れ上がる。
このような状況の中、ホーチミン市公園街路樹公社はこのほど市の交差点や病院門付近、小学校校門付近にある不安定な街路樹7000本を伐採する案を市側に提案した。伐採した後には美観を保つよう別の樹木を植樹するという。
街路樹は街をつくり、空間を作り出す役割を果たすが、と同時に凶器ともなりうる。市側は市内の交通渋滞緩和による道路拡張やまた相次ぐ倒木事故がおきるたびに保存か伐採かの狭間で思案しているが、考えているうちにも雨季のこの時期あちらこちらで倒木が起こり市民の安全を脅かしている。
一歩遠くから眺めると美しい街路樹の緑でも、茶色の太い幹の横に信号待ち時にバイクで横並ぶと結構圧迫感がある。強風が吹き荒れるなか運悪くこんな場面に遭遇したら、、、これまで雨季4ヶ月間で300本の倒木、300(本)割る120(日)=1日あたり2.5本、横の木がその木じゃありませんように、、、とあとは祈るしかないかもしれない。