ベトナムでも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の打撃は大きく、特に今年のテト(旧正月)前に発生した第3波の影響により、テト明けに多くの人々が失業した。
(C) thanhnien |
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ほとんど教育を受けておらず、ホーチミン市で5人の子供を育てなければならない上、テト明けに2人揃って失業してしまった夫婦にとって、生活は以前の何倍も厳しいものとなった。
ザイン・クアさん(男性・46歳)とティ・ミー・ズンさん(女性・37歳)の夫婦は、毎晩幼い子供を連れて資源回収(ベーチャイ=ve chai)に出かけ、夜通しホーチミン市をバイクで走り回る。
クアさんはれんが職人として働いていたが、新型コロナの影響で工事がなくなり、失業した。妻のズンさんも勤め先の会社が解散し、職を失った。
午後11時、クアさんはホンダのバイク「ドリーム(Dream)」を走らせ、ズンさんはクアさんの後ろに乗り、廃品を探して周辺を見回す。そして、クアさんの脚の間に乗せたビニール袋の上に4歳の息子が座る。こうしてクアさん夫婦の1日の仕事が始まる。
ごみの山を見つけるとバイクを停め、夫婦でごみの中から段ボールやビン・カンなどの資源を探す。両親の仕事中、息子はそばに立って待っている。通行人は、人通りも少なくなった深夜の道路に小さな子供が立っている姿に目を留めるが、息子は見られることにも慣れていて、時にバイクのそばで踊ったり、歌ったりしている。
ズンさんによると、夫婦揃って失業したため、家計は会社勤めの19歳の長女に頼らざるを得ないという。しかし、娘の月給も450万VND(約2万1200円)程度しかなく、野菜や米を買うお金を稼ぐために夫婦も資源回収に出なければならない。
「末の息子は私につきっきりで、家できょうだいと留守番をしたがらず、私が出かければついて来ます。皆が寝静まった深夜に資源回収に連れて行き、夜更かしをさせてしまって、息子に申し訳ないと思っています」とズンさん。