たくさんのごみの山を5分ほど探しても2~3本のペットボトルしか収穫がないこともあるが、時々飲み屋のそばを通り過ぎると数十本のビールの空き缶を集められることもある。
(C) thanhnien |
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多くの人が夫婦の顔を見知っていて、夫婦が通りすがる際に声をかけ、資源を持って行ってもらうという人もいる。一方、夫婦の事情を知らず、子供がかわいそうだと声をかけ、どうして家で寝かせないのかと夫婦を責める人もいる。
「最近は同業者が多くて、1日に2~3本のボトルしか集まらないこともよくあります。道すがら、私と夫は代わる代わる息子に眠くないかたずね、息子が大丈夫と言えばまたバイクを走らせます」とズンさんは話す。
こっちのごみ山からあっちのごみ山へ、ゴーバップ区から12区まで走ってまた戻り、それでも大した数の資源は集まらない。クアさんはこう語る。「週7日、夜通し出かけて集めた資源を売って、20万~30万VND(約940~1400円)程度の収入になります。多い週で40万VND(約1900円)もいけば大喜びで、野菜などを買うのにも十分です」。
クアさん夫婦は2014年に仕事のためにホーチミン市へ移り住んだ。クアさんはれんが職人としての経験があり、仕事も容易に見つけられた。毎月1000万VND(約4万7000円)以上稼ぎ、子供たちの養育費も田舎の両親に送る仕送りも賄えていた。
妻のズンさんは会社に工場労働者として勤め、月給は残業なしでも500万~600万VND(約2万3600~2万8300円)ほどあった。しかし、2020年の初めに体調を崩し、数か月休職した。ズンさんは新型コロナが落ち着いてから復帰するつもりだったが、復帰を申し出る前に会社が解散してしまった。ズンさんは失業手当も受け取れなかった。
19歳の長女は中学1年生(日本の小学6年生)に上がると学校を辞め、家で3年を過ごし、下のきょうだいたちを養う両親を助けるために15歳で就職した。上の息子は身体が弱く、小さいころには何度も発作を起こした。その下の子供は田舎にいる母方の祖母に預けられ、きょうだいの中で唯一、今も学校に通っている。