- ラン元会長は終身刑から禁固30年に減刑
- 別の裁判では資産横領罪で既に死刑判決
- ベトナム全土を震撼させた巨額横領事件
華人系不動産大手VTPグループ(Van Thinh Phat Group)およびVTPと密接なコネクションがあるサイゴン商業銀行(SCB)における一連の違反事件のうち、VTP系列企業による違法社債発行・資産横領・資金洗浄事件の裁判で、ホーチミン市上級人民裁判所は21日に、二審判決を下した。
![]() (C)Nguoi Lao Dong |
今回の裁判の対象となった事件は被告らが、VTP系列企業が発行体となる違法な社債発行を通じて投資家から資金を調達し流用したほか、SCBや投資家の資金を横領し違法な海外送金を行うなどして、マネーロンダリングを行ったというもの。
問題の社債30兆0810億VND(約1630億円)を購入した投資家は3万5824人に上り、その大半がSCBの預金者だった。マネーロンダリングの対象となった金額は445兆7480億VND(約2兆4000億円)で、SCBを介した違法送金の総額は45億USD(約6300億円)に上った。
二審裁判では、主犯格として特定されたVTP元会長のチュオン・ミー・ラン被告(女・69歳)に、詐欺・資産横領罪で禁固20年(一審判決:終身刑)、マネーロンダリング罪で禁固12年(一審判決から変わらず)、国外への違法な資金持ち出しの罪で禁固8年の判決(同)が言い渡された。ベトナムでの禁固刑は最大30年と規定されているため、同被告に対する禁固刑の期間は30年となる。
上級裁判所は、同被告が事件の被害克服に努めていることを考慮し、情状酌量の余地があるとして減刑した。
なお、ラン被告は別の事件の裁判で、同市人民裁判所から資産横領などの罪に問われて死刑判決を言い渡されている。こちらの裁判の対象となった事件は、ラン被告が経営支配権を掌握していたSCBを介して国民や企業から資金を調達し、不動産投資などの名目でSCBにVTP系列企業向けの違法融資を行わせ、同行に多額の被害をもたらしたというもの。