- VTPのラン会長が資産横領罪で死刑
- 融資違反と贈賄罪でもそれぞれ禁固20年
- 賠償金として4兆円超の支払い命令
ホーチミン市人民裁判所は11日、華人系不動産大手VTPグループ(Van Thinh Phat Group)の違法社債発行や、VTPと密接なコネクションがあるサイゴン商業銀行(SCB)による銀行業務違反など一連の事件の裁判で、被告86人への判決を下した。資産横領罪などに問われていたVTP会長のチュオン・ミー・ラン被告(女・68歳)には死刑判決が言い渡された。
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同事件は、VTP会長のラン被告が、経営支配権を掌握していたSCBを介して国民や企業から資金を調達し、不動産投資などの名目でSCBにVTP系列企業向けの違法融資を行わせ、同行に多額の被害をもたらしたというもの。
主犯格のラン被告は、起訴されていた3つの罪で全て有罪となり、◇資産横領罪で死刑、◇金融機関における融資規定に違反した罪で禁固20年、◇贈賄罪で禁固20年の判決となった。さらに、約674兆VND(約4兆1100億円)の賠償金の支払いを命じられた。
ラン被告は2011年、◇SCB、◇ティンギアバンク(Tin Nghia Bank) 、◇フィコムバンク(Ficombank)が統合する形で誕生した新生SCBの経営支配権を掌握。SCBの資本金は2012年1月1日時点の10兆VND(約610億円)から15兆VND(約915億円)に引き上げられた。
ラン被告は逮捕までに複数の個人・企業の名義を介してSCB株85.0~91.5%を保有。SCBの経営には直接参加していなかったが、側近らがSCBの要職を務めていた。残るSCB株は小口株主約4000人が保有していた。
VTPは国内外にペーパーカンパニーを設立する形で1000社以上の系列企業を保有し、ラン被告の指示のもと、SCBは担保資産を審査せずにVTP系列企業に違法融資を繰り返し実施した。
結果、VTP系列企業は債務不履行となり、SCBは多額の不良債権を抱えることになった。検察側によると、融資金や利息などを含め、被告らによってSCBが負うことになった担保資産相殺後の被害総額は498兆VND(約3兆0400億円)に上る。
裁判所は賠償金の回収を確実とするため、引き続き同被告の資産を差し押さえるよう命じた。