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観光客を乗せた長距離バスのハンドルを夜通し握りながら、シングルマザーのボー・ティ・キム・チーさん(女性・35歳)は静かに泣いてすぐに涙を拭い、「先には良いことが必ずある」と信じ、嫌なことは考えないようにしている。
チーさんは眠気覚ましのために、そして自分と2人の子どもを養う手段でもある大好きな仕事の楽しさをシェアするために、バスを運転する自分の動画をソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に多数投稿している。動画の中でチーさんはいつも笑顔で、ポジティブなエネルギーを振りまいている。
南中部沿岸地方フーイエン省出身のチーさんは13年前、商品販売の仕事をしていたが、タクシー運転手になるために自動車教習所に通うことを決め、仕事を辞めた。「私は色々なところに行くのが好きで、独立心もあってたくましいので、運転手の仕事は自分にぴったりだし、女性にだってできると思ったんです」とチーさんは語る。
女性にはなかなか大変なタクシー運転手の仕事を6年間勤めたチーさんは、真夜中にタクシーの中で仮眠を取っていたときのことを今でも覚えている。乗客から無礼にからかわれ、涙をこらえることもあった。
そしてチーさんは、ツアーの観光客を乗せる長距離バスの運転手の仕事の方が安定していると考え、タクシーからバスの運転手に転向することにした。チーさんは、まずは16人乗り、次に30人乗りのバスの運転免許証を取得した。
2017年に夫と離婚した後、チーさんは全財産をかき集めて銀行から借り入れし、29人乗りのバスを購入した。そしてフーイエン省から南中部沿岸地方カインホア省ニャチャン市に移り、旅行会社に入社した。