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ホーチミン市1区にあるフォー店「フォー2000(Pho 2000)」は、ビル・クリントン元米大統領や村山富市元内閣総理大臣、ボー・バン・キエット元首相など、多くの著名政治家が訪れた場所として知られている。
フォー2000がオープンして数か月後のこと、当時の在ホーチミン米国総領事館の責任者が、オーナーのアラン・タンさんに「今度VIP客をお迎えしたいので、検査のためにお店の料理を持ち帰ってもよろしいでしょうか?」とたずねた。タンさんは特に深く考えず、「どうぞご自由に!」と答えた。
それからさらに数か月後、仕事で米国に滞在していたタンさんは、義母からの電話を受けた。電話の向こう側で慌てふためく義母は「ちょっと!クリントン大統領がうちの店にいらっしゃるみたい」と言った。タンさんと妻は喜んだのもつかの間、2人は米国にいるためVIP客を直接迎えることができず、不安でいっぱいになった。
「多くの人が、私が政治家と『ただならぬ』関係にあり、クリントン氏を迎えるために店をオープンしたんだろう、と言いました。でも1つ言えるのは、すべて偶然だったということだけです。もし偶然じゃなかったとしたら、どうして私はそのとき、彼を迎えるためにベトナムにいなかったんでしょうか?」とタンさんは語る。
1999年末、タンさんはホーチミン市1区にフォー店をオープンすることに決めた。そして、オープンして間もなく、ベトナム料理を楽しみたい外国人観光客の間でおなじみの店となった。タンさんがベトナム系米国人だと知ると、外国人はさらに感銘を受けた。
当時、在ホーチミン米国総領事館の責任者もまた、妻や子供、友人たちを連れてよくこの店を訪れては、越僑オーナーが作るフォーはとても美味しい、と褒めていた。
2人は親しかったが、ベトナムを訪問するクリントン大統領が食事をする場所をリストアップしていた総領事館の責任者は、フォー2000もリストに入れていたものの、ぎりぎりまでタンさんに明かすことはなかった。