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早速、タンさん夫妻は動き出した。6か月かけて、北部から南部までありとあらゆる人気のフォー店を調査した。そして数か月後、ホーチミン市のボーティサウ通りに、初めての高級フォー店「フォー2000」をオープンした。
当時からベトナムのフォーはどこでも美味しかったが、店には粗末なテーブルと椅子しかなく、紙くずが床に捨てられ、衛生状態が良くなかった。そこでタンさんは、きれいなレストランでフォーを楽しめるようにしたのだった。オーナー自ら作るフォーは、瞬く間に話題を呼んだ。時には1000人以上が行列を作るようなこともあったという。
店はその後移転し、クリントン元大統領が訪れたころはベンタイン市場のすぐそばのファンチューチン通りにあった。現在は同じくベンタイン市場のそばの、レタントン通りにある。オープンから20年以上が経った今も、店には多くの客が訪れる。客の90%以上が外国人だ。
アジアからヨーロッパまで、世界中で有名な高級レストランを営み、生涯料理人として生きてきたタンさんだが、タンさんの料理人人生の中で最も大きな誇りはベトナムの伝統料理だという。「フォーがあるところには、ベトナム人の文化があるということですから」とタンさんは語る。
「好みは人それぞれなので、どの店が美味しいとか美味しくないとか言うつもりはありません。でも、私はこれまで、心を込めて、愛情を持ってフォーを作り続けてきました。多くの外国人のお客様がフォー2000を好んでくださっているということはつまり、フォー2000はインターナショナルな基準を満たしていて、世界のどこにでも店を出せるということでしょう」とタンさんは笑った。