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2014年7月7日、ハノイ市タックタット郡タックホア村で、ベトナム空軍所属のヘリコプター「Mi-171」が訓練中に墜落した。この事故で乗員20人が死亡、1人が負傷した。ヘリコプターはパラシュート降下訓練のためにホアラック空港を離陸した約10分後に消息を絶ち、間もなく同空港から約3kmの地点に墜落した。
事故から9年が経ち、唯一の生存者となったディン・バン・ズオン上尉は今、事故で負った障がいを抱えながらも、家族のそばで楽しく、楽観的な日々を送っている。
ある日の午後、ズオンさんは車椅子に座り、ハノイ市ロンビエン区にある集合住宅の小さな一室で妻子の帰りを待っていた。ズオンさんは、健常ではなくなってしまった腕を使って車椅子を巧みに操り、窓を開けたり電気をつけたり、扇風機を回したりする。
ズオンさんは、今では人の支えなしで軽く歩いたり、2本の腕を動かしたりできるようになった、と自慢する。特に、ズオンさんのメンタルはとても良好だ。
事故の後、900日間、つまり約2年半におよぶ病院での治療と24回の手術、そして3回の心停止からの蘇生を経て、視力は弱まり身体も変形してしまったが、ズオンさんはようやく退院して自宅に帰ることができた。
事故の後遺症は悲惨なものだったが、記憶と言語能力は失わずに済んだズオンさんは「神の慈悲」に感謝し、少しずつ心の平穏を取り戻していった。
ここまで復活できたのは、勇敢な兵士として訓練を重ねた成果でもある。「事故の後、座れるようになるまでに3か月、義足で立ち上がって歩けるようになるまでに6か月かかりました。こうして生き残ったからには、死んだ仲間に安心してもらえるように、責任と義務を持って生きて行かなければならないと思っています」とズオンさんは語る。