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夫婦の次男であるチャン・バン・トゥオンさんは、芸術関係の仕事に就いているが、両親が生み出す食卓カバーを見ると感心せずにはいられない。絵画界隈のトゥオンさんの友人たちも、それが手編みだとは思いもせず、機械で型押ししたものだと勘違いするほどだという。
カーさんとティエンさんはこれまでに約400個の食卓カバーを作ってきた。ほとんどが受注生産で、現在の価格は1個あたり3000万VND(約17万8000円)となっている。「最初にこれを作ったとき、買ってくれる人がいるとは思っていませんでした。とにかく美しく、ユニークなものを作りたいというだけだったんです」と夫婦は語る。
需要はあるものの、子供や孫たちはカーさんたちに休んでもらいと思っており、最近では夫婦はたまにしか仕事を引き受けていない。今年に入ってからは3つ作っており、2つはタイのお客さんに売り、1つは近所の人に贈った。
ときには新しい製品の開発に取り組むこともある。直近ではお供え物のお盆にかぶせるサイズの卓上カバーを作る予定だ。
ただ、カーさん夫婦には悩みがある。それは、子供や孫がたくさんいるにもかかわらず、誰も伝統工芸を継いでいないことだ。村の人が作り方を習いにくることもあり、夫婦も手取り足取り教えるが、それでも夫婦が手掛けるような卓上カバーを編み上げられた人は今までにいない。
「難しいからというよりも、細かさと忍耐力が求められるからでしょう。多くの人は、1200本もの縦糸を見たらどこから編んだらいいのかもわからなくなり混乱するみたいです」とティエンさんは話した。