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ハノイ市中心部から25km、チュオンミー郡フーギア村のフービン伝統工芸村は、籐(とう)の工芸品で有名で、400年以上の歴史を持つ。籐で編まれた漢字の書の作品など、かつてこの村で作られた製品は今もなお、北中部地方トゥアティエン・フエ省の宮廷骨董博物館に保管されている。
現在の最も有名な製品の1つは、チャン・バー・カーさん(男性・75歳)と妻のグエン・ティ・ティエンさん(女性・72歳)が生み出す、絹糸のように細く白い籐で編まれた食卓カバー(蠅帳)だ。
ティエンさんは代々籐編みの伝統工芸に携わってきた家庭に生まれ、自身も6歳のころからこの仕事を手伝ってきた。
ティエンさんが作る製品はこの地域で最も美しいとされ、サンプル品として注文を受けることも多い。若かりしころのティエンさんは編むスピードも普通の人の2~3倍で、伝統工芸村で一番だった。
職人としての収入で、十分に5人の子供たちを養いながら仕事を続けることができた。夫婦は、子供や孫の生活が安定したら、老後は伝統工芸に敬意を込めて何かユニークな製品を作りたいと考えていた。
そこでティエンさんは、北部の家庭でおなじみの食卓カバーを作ってみることにした。2003年のある日の夜、ティエンさんは夫のカーさんに、食卓カバーの作り方を習いに行きたいと話した。しかしカーさんはこう答えた。「外に勉強しに行く必要はないよ。アイデアを言ってみて。私がやってみようじゃないか」。