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シラチャーソースが成功したことで、シラチャーソースを模倣した類似品が広く出回るようになった。「我々はシラチャーソースの類似品を扱う複数の会社に対し、活動停止を要求し、提訴する旨を記した通告書を送りました。チャン氏とフイフォンフーズは独自のチリソースを製造しており、シラチャーソースに取って代わる製品はありませんから」と、フイフォンフーズの知的財産権に関する代理人を務めるロッド・バーマン氏は話した。
2017年には、フイフォンフーズにとって1988年からの唐辛子の独占的な仕入先だったアンダーウッド・ランチズ(Underwood Ranches)との関係が崩れ、法廷闘争に発展した。前期からの過払い金140万USD(約1億9000万円)の返還をアンダーウッド・ランチズが拒否したという理由で、2017年8月にフイフォンフーズが同社を訴えたのだ。
しかし、アンダーウッド・ランチズは反訴し、フイフォンフーズが2016年に他のサプライヤーから唐辛子を仕入れるために新会社を設立したことは契約違反に当たるとして申し立てをした。この法廷闘争はカリフォルニア州の控訴裁判所がフイフォンフーズにアンダーウッド・ランチズへの2300万USD(約31億3000万円)の損害賠償の支払いを命じた2021年まで続いた。
年間5万tの唐辛子を消費するフイフォンフーズは、カルフォルニア州、ニューメキシコ州、またメキシコ各地から唐辛子を仕入れているが、十分な生産原料を確保するには春の収穫期に依存するしかない。しかし、2022年の春は干ばつで不作となり、原料の唐辛子が深刻な不足に陥ったため、フイフォンフーズは一時的に生産を停止せざるを得なくなった。
すでに危機は過ぎ去ったようで、現在は1時間にシラチャーソース1万8000本を生産する通常のペースに戻っている。同社はまた、シラチャーソースのほかに、唐辛子と塩、酢のみを使用したインドネシアのチリソース「サンバルオレック(Sambal Oelek)」と、シラチャーソースよりもニンニクの分量が多いチリソースも生産している。
チャン氏は1980年から現在までずっと、唐辛子、砂糖、塩、ニンニク、そして酢からなるレシピを使ってきた。これこそが、40年の間にフイフォンフーズを小さな会社から10億USD(約1360億円)規模の大企業に変えた成功のレシピだ。
「安価な原料を使ったり、製品の宣伝をしたりすればもっと儲けを出すことはできるでしょうが、そういったことはしません。私の目標は、貧しい層でも手に入れられる価格で富裕層向けのように高品質なチリソースを提供することですから」とチャン氏は語った。