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帰郷、そして家族との対面……「異形」のベトナム男児と米国女性の物語

2022/09/04 10:33 JST配信
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 家族は何度か孤児院を訪ね、子供を引き取ろうとしたが、孤児院の職員からは、病気が非常に重く、しっかりとした医療のケアを受けなければ死んでしまう、孤児院に置いて養子として引き取ってくれる人を探し、外国で治療させたほうがいい、と勧められた。

 2005年、ホープさん夫妻がホーチミン市を訪れ、孤児院に養子を迎える希望を伝え、サミュエルを米国へと連れて行った。サミュエルはまだ、16か月だった。

 以来、リエンさん夫妻は、子供の消息を何も得られなくなった。この18年間、リエンさんは子供のことを思い出しても、生後間もなくに撮影された、顔半分が腫瘍に覆われた写真を見て、いつか帰ってきてくれることを願うしかなかった。「ホーチミン市で暮らす兄に頼んで情報を得ようとしましたが、手掛かりはありませんでした。自分の子を育てることもできなかったダメな母親だと、自分を責めるばかりでした」。

 一方で地球の裏側では、ありとあらゆる病気と顔の腫瘍を抱えたサミュエルは、ホープさん夫妻の懸命なケアと、5回の顔の手術と2回の目の手術を乗り越えて視力と外見を取り戻した。そして今彼は、大学に入る準備をしている。

 我が子の治療に心を傾けながらもホープさん夫妻は、サミュエルに自分のルーツを教えることは忘れなかった。「母からは、実の両親は、僕に治療を受けるチャンスを与えたくて、僕を行かせたのだと聞かされてきました。僕も両親に会いたかったし、両親もきっと僕に会いたいだろうと思っていました」とサミュエルは言う。

 ホープさんは何度も、米国に住むベトナム人を頼って実の家族を探そうとしたが、名前と故郷の地名のほか、わかることは何もなかった。

 しかしホープさんにも、あまり多くの時間は残されていなかった。乳がんが転移しており、最後の大きな願いとして、息子の実の母親を何とか探し出したかった彼女は今年5月末、大学時代のベトナム人の友人を頼って、英語とベトナム語で情報をインターネットに掲載、様々な団体にシェアした。

 するとどうだ、わずか24時間で、ホープさんとサミュエル、そしてビンフオック省の実の母親が、つながった。

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