(C) dantri |
家事も子育てもバックさんが主に担っているが、バックさんが病気のときにはリンさんが市場に行って、インターネットで調べながらお粥を作ってくれた。バックさんはあまりに驚き、思わず「今までの人生で一番美味しいお粥だった」とSNSに投稿した。「リンを買いたいという人がいても、いくら積まれても売りません」というジョークを添えて。
バックさんが口だけでなく心から自分と子供を愛してくれていることを小さな行動からも感じ、リンさんは「バックと子供を手放さなかったことは、自分の人生で一番正しい決断だった」と思っている。
もうすぐ2人はコップくんの1歳を祝う「選び取り」の儀式と自分たちの結婚式を行う予定だ。結婚式の場所は、今から6年前、互いにしばらく連絡が途絶えた後に2人が再会した場所でもある南中部高原地方ラムドン省ダラット市だ。
再会したのは、リンさんが交通事故で恋人を亡くしてホーチミン市を離れて1年近くが経ったころだった。2人はもともと会社の同僚だったが、しばらく連絡は取っていなかった。そしてある日、たまたま仕事でダラットを訪れたバックさんがスアンフオン湖のほとりに1人で座っているリンさんを見つけたのだった。
「そのとき、バックは僕の上着を3枚借りて、古い3枚を新しい1枚と交換しようと言ったんです。それが、僕のそばにいたいという意味だったんでしょう。まさかそのぼんやりとした言葉が、今に至るまで一緒にいる運命だったなんて」とリンさんは話す。
2人は、10月までにコップくんが自分でよちよちと歩けるようになって、2人のパパに結婚祝いの花束を渡してくれたらと願っている。その日には、コップくんの母親からの手紙も皆の前で読むつもりだ。コップくんの母親は手紙の中で、「2人が結婚したら、それは天国からの私の祝福だと思ってください」と書いていたからだ。
リンさんはまた、息子にこの言葉を送るつもりでいる。「もしママが恋しくなったら、ママは素晴らしい女性だったのだということを思い出して。君にはママもいることを忘れないでほしい。君のママは天使の羽を持った美しい人で、いつも家族のことを見守ってくれているよ。大きいパパも小さいパパも、君も、ママが天国で笑っていられるように幸せに生きていこうね」。