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バックさん自身は口に出さなかったが、自分が2人を許し、リンさんと一緒に子供を育てることを受け入れたときが、自分が「母親」代わりを務めることを誓ったときでもあった。
「手紙はバックが棚に保管して鍵をかけています。僕が読みたくなったらバックに鍵を開けてもらって、読み終わったらまたバックに棚にしまって鍵をかけてもらうんです」とリンさんは語る。
もともと子供好きだったが、バックさんの「母親」ぶりはリンさんにとって驚きの連続だった。コップくんを迎えたばかりのころ、バックさんはリンさんの母親と交代でミルクを飲ませ、おむつを替え、入浴をさせていた。そのころ、リンさんはまだ赤ん坊を抱っこすることすら恐ろしく、おむつ交換もできないでいた。
当時、リンさんはバックさんが携帯電話で何やら読んでいるところを見かけた。あるとき、何を読んでいるのかのぞき見したリンさんは感動した。バックさんは、乳児の世話について調べていたのだった。
バックさんは、リンさんにたばこをやめるよう忠告した。最初は同意しなかったリンさんだったが、たばこを吸うときは庭に出るようになり、今やもう完全にやめたという。新型コロナが落ち着いたころ、さらにバックさんは、猫の毛が息子に影響を与えることを恐れて長年子供のようにかわいがってきた猫2匹を手放した。
また、リンさんがバイクの「スピード王」であることを知っていたバックさんは、リンさんが再び無謀な運転をすることも恐れていた。リンさんが子供を背負って1人でバイクを暴走させた翌日、バックさんはこっそりリンさんのバイク2台をSNSで売り払った。そして、購入した人が受け取りに来て初めて、リンさんは自分のバイクが売られたことを知ったのだった。
「バックがそういうことをするのは、全て子供のためであり、僕に責任感のある父親になってほしいからだとわかっているので、怒ったりなんてしません。僕自身もだんだん変わってきたと思います」とリンさん。
子育ては大変で、自分の趣味や楽しみを犠牲にしなければならないが、それでもバックさんはリンさんと一緒に彼の子供を育てる道を選んだことを幸せに感じている。間もなく1歳になるコップくんは体重が10kgに増え、歯も6本生えてきた。
バックさんは手作りでより美味しいものを子供に食べさせたいという思いから、時間がかかってもミキサーは使わず、ザルでこしてお粥を作っている。