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「ベトナムでのビジネスについて調べてみましたが、今は第4次産業革命(インダストリー4.0)の時代なので、何をするにも容易に思えます。もう1度起業して、今までとは違う分野で自分がどこまでできるか試してみたいと思っています」とズンさん。
ズンさんは子供たちをウクライナに戻さず、ベトナムで学業を続けさせるために子供たちの戸籍の手続きを進めている。しかし、家族の関連書類は全てウクライナに置いてあるため、なかなか手続きが進まないのが現状だ。
ウクライナ在住ベトナム人のほとんどは、現地の市場で布や服、食品、果物などを売って生活してきた。しかし、突然の国外退避で誰もが商品を売り切ることも、ましてや商品を持って帰国することもできなかった。
チャンさんは、オデーサにある、自身が商売をしていたベトナム人が多くいる市場の情報がなかなかつかめずにいる。市場はまだ爆撃されていないものの、商品の盗難は避けられないようだ。「警備員はほとんど残っておらず、市場は広く、売り手も買い手も皆退避しているので、商品がどうなっているのかわかりません」とチャンさんは語る。
チャンさんと同じくオデーサで商売をしているズンさんはというと、ズンさんと商人仲間たちは商品を守るために追加でお金を支払って警備員を雇ったため、彼らの商売エリアはきちんと警備されているという。
「今のところ商品の状態は良好ですが、時間が長引けばどうなるかわかりません」とズンさん。しかし、幸いにもズンさん夫婦の手元には多少なりともお金が残っているため、他の家族よりはずいぶんましだ。
ニュースでは、キーウやその近郊にあるベトナム人の市場が爆撃を受け、多くの人々が財産も家も失ったことが報じられている。「ウクライナで人生をかけて商売をしてきたベトナム人たちがかわいそうでなりません。彼らはもうすぐ引退というところにきて、すべてを失ってしまったのですから。1年少し前には新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で大変だったのに」と、ズンさんは悲しそうに語った。