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タインホア省に移って家族3人で暮らしていたティンさんだが、息子が4歳になると、幼稚園に通わせるために故郷にいる母方の祖父母に息子を預けることにした。1年のうち、家族が長い時間を一緒に過ごせるのは、夏休みとテト休みだけだ。
ティンさんは今年、旧暦12月28日(新暦2月9日)に帰省するつもりだった。例年は父親が桃やキンカンの木を買い、母親が子供に新しい服を買う。しかし今年はテトの訪れととともに新型コロナも「訪れ」、夫妻の帰省は叶わない。「自宅はテトの準備を整えていますが、心は全くテトの気分じゃありません」とティンさんは悲しげに笑った。
それでも、ティンさんは前向きに考えるようにし、落ち込んでいる妻にも励ましの声をかけている。「幸い、故郷も私が今いる所も、危険な地域には含まれていません。たくさんの家族が隔離のために離れ離れになっていて、それでも皆、乗り越えていますから」。
ティンさんは、息子を元気付けるため、両親に頼んで代わりにテトの買い物をしてもらい、さらに大晦日にはオンラインで家族皆で一緒に新年を迎えるつもりだ。
ミン・ドゥックさんとフエン・ミーさんの夫婦は、家族が感染流行地域のハイズオン省チーリン市にいるため、テトに実家へ帰ることができなくなった。ドゥックさんの母親はチーリン市内の小学校の教員で、多くの生徒や保護者と接触するため、近しい人が感染すれば、ドゥックさんの母親も接触者(F1)になる可能性がある。チーリン市も封鎖されている。
ベトナムで56日ぶりの市中感染が発表された1月28日の朝、メディアで報じられる前にドゥックさんは家族から市中感染のことを聞いた。20日前にチーリン市の実家を訪れたばかりだったドゥックさんは、すぐに退社し、自宅隔離に入った。妻のミーさんは少し前に大きな手術を受けたばかりだったこともあり、ドゥックさんの心は妻と両親に対する心配でいっぱいだった。
チーリン市で市中感染が発生したことを知ると、ミーさんはすぐにマスクや手指消毒剤、免疫を高める薬などをオンラインで購入し、チーリン市の自宅で隔離中の夫の両親のもとへ送った。母親がストレスを感じていることを知り、ドゥックさんは時々電話をかけて励ました。また、ドゥックさん夫婦も健康申告を行い、両親と同じく21日間の自宅隔離を受けることになった。
市中感染の拡大は、すなわちミーさんが初めてテトを夫の実家で迎える計画が白紙になったということでもあった。ハノイ市で生まれ育ったミーさんは、田舎でテトを迎えたことがなく、ミーさんが2歳のときに両親も離婚しているため、夫の実家で、家族皆で過ごすテトを楽しみにしていた。
夫婦は1か月前からテトに何を買うか話し合い、ミーさんはたくさんの菊の花を買って庭を黄色一色にしたいと語っていた。一方、ドゥックさんの両親も、テトに帰省する息子夫婦をもてなすため、自宅で鶏や野菜を育てて準備していた。