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不健全なパパ
「君は痛みに耐えられる?」30歳そこらの男性が、ハノイ市タイホー区にあるバーでお酒のグラスを手に記者にたずねた。シュガーベイビーを探しているというチャン・ミン・タインさん(仮名)と記者は、米国発の出会い系アプリ「ティンダー(Tinder)」で知り合った。タインさんはゲーム開発会社の最高経営責任者(CEO)と名乗った。
タインさんがティンダーに投稿したシュガーベイビーの条件は22歳未満であることと「経験」があることで、月2500万VND(約11万5000円)を支払うと提示した。シュガーベイビーを装った記者と初めて会ったとき、タインさんが真っ先にたずねたことが、痛みに耐えられるか、だった。
記者がびっくりして聞き返すと、タインさんはこう答えた。「BDSM(嗜虐的性向)ってわかる?自分の恋人を痛めつけたくないから、代わりの子が必要なんだ。君の秘密は守るし、毎月2500万VND(約11万5000円)を払うから、週に1回会おう。いい?」。
タインさんには付き合って5年になる恋人がいて結婚もする予定だが、自分の性的嗜好のために彼女を傷つけたくなく、だからといって売春婦も好きでないため、シュガーベイビーを探しているのだと語った。
「強要はしないけれど、考えてみて。君はお金をもらえて、僕は欲を満たせる。この関係はウィンウィン(win-win)だよ。君に痛い思いをさせるけれど、お金は払うし、もし君がうまくできたらチップも払うよ」。
契約
ほかにも、妻との関係に満足していないためにシュガーベイビーを探している、という男性もいた。ホー・ミン・バンさん(仮名)は妻子持ちの49歳で、1回のデートで400万VND(約1万8300円)を支払うと提示した上、1人のシュガーベイビーが週7日間ずっと自分の相手をするのは大変だからと、3~4人のシュガーベイビーを必要としているのだという。
バンさんが用意したA4サイズの契約書には、「(パパからの連絡がないときに)娘からパパに電話をかけたりメッセージを送ったりしないこと」「他の人と関係を持たないこと」「コンドームを使わないときは、娘が自分で他の避妊策を講じること」「万が一妊娠した場合、娘が自分で解決すること」などのルールが書き連ねてあった。
その代わりに報酬は高く、ばれないように守ってくれ、うまくいけば卒業後に就職先まで見繕ってくれるというのだ。
シュガーダディーの中には、単に寂しさを埋めたり、心の内を共有したりという関係だけを求める人ももちろんいるが、身体の関係を求める「パパ」も決して少なくない。また、チャットの中で下品な言葉を並べ、あれこれと要求してくる「パパ」もいるのが現実だ。
−後編に続く−