(C) vnexpress.net 写真の拡大 |
(C) vnexpress.net 写真の拡大 |
そして2008年、タインさん夫妻はホアンキエム区マーマイ(Ma May)通りでフランス菓子店を開業した。その後2店舗目をオープンしたが、立地条件が悪く、客足が伸びず3億VND(約142万円)の赤字を背負った。資金繰りに奔走するタインさんを見かねて、市場で野菜を売る女性が1億VND(約47万円)を貸してもいいと申し出てくれたが、フーさんは借りることに反対した。「夫は、市場で野菜を売る人にとってその額はとても大きく、万が一のことがあれば貸してくれた人に迷惑がかかると言って、結局5000万VND(約23万7000円)だけ借りることにしたんです」とタインさん。
その後、事業は次第に軌道に乗り、ハノイ市内で3店舗を経営するまでになった。毎日店舗は外国人客で賑わい、20以上のレストランやホテルからの注文も受けている。
起業から25年が経ち、現在はロンビエン区の大きな一軒家で暮らしている。3人の子供たちはタインさん夫妻がずっと願ったきたように何不自由もない暮らしを送ることができている。
店舗の従業員20人のうち、半数は孤児や少数民族、貧困世帯の出身で、タインさん夫妻は年に2~3回慈善活動を行っている。「私たちは元々恵まれない環境にありましたが、周りの人々に助けられ愛されてきました。経済的に安定した今、昔の自分たちのような環境に置かれた子供たちを助けたいんです」とフーさんは語る。