(C) An Huy, Thanh Nien 写真の拡大 |
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その時、バイクを運転していた女性が別のバイクに擦られ転倒した。トアンさんは現場に駆け付けて女性を支え、バイクを起こして道路脇に寄せた。
1時間もすると、トアンさんは汗びっしょりになり、顔は埃や排気ガスで黒くなった。「大変に見えるかもしれないけど、みんなが無事に家に帰ることができればそれでいいんだ。コミュニティのためにと思って頑張っているし、効果も出ているからね」と着ていたシャツで顔の汗をぬぐった。
時刻は18時50分、市内は帰宅ラッシュが過ぎ、交通量も減り始めるとトアンさんはまた自転車に乗って帰宅した。
トアンさんは子沢山の家に生まれたが、今ではみんな結婚して独立している。トアンさんだけが未婚で今も70歳を超える父親と同居している。トアンさんはかつて知人のつてでトラックの荷役を仕事にしていたが、その後は自宅のある街区の警備部員として働いた。しかし給与があまりにも低かったため、トアンさんは父を養うためにチャンフンダオ通りでバイク修理店を商うようになった。
転機は2002年のある日、仕事でタンビン区に行った時だった。1時間以上の大渋滞にはまり、誰も道を譲り合おうとしないことに耐えられなくなったトアンさんは、バイクを道路脇に止めて自ら交通整理をしたのだ。この時から、渋滞を見つけては交通整理をするようになった。