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大火災が起きたのは、青空が広がり日差しが照りつける13時過ぎのことだった。夜のパフォーマンスに向けてDJの練習をするため、階段を上ってディスコに向かっていたディンさんは、ビル内に炎が上がっているのを発見した。火災発生時のビル内には、49のオフィスの従業員やレストランの客など数百人がいた。火元はディスコだった。
ディンさんは嫌な予感がし外へ逃げようとしたが、3階にディスコのオーナーの女性と従業員たちがいることを思い出し、階段を駆け上がって皆に火災を知らせた。自分も逃げようと階段を下りようとしたが、既に火の手は大きくなっており、下へ逃げることができず屋上へ向かった。この時、約20人が同じように上階に逃げた。
逃げ道を必死に探していたディンさんは、屋上に上ってから約30分が経ったころ、まわりに誰もいなくなっていることに気付いた。そしてディンさんは、「皆、飛び降りて死んでしまったんだ」と思ったという。
絶望の中、ディンさんは祈るしかなかった。そのときディンさんはグエンチュンチュック通りを見下ろせる場所を発見し、Tシャツを目印にして地上の人々に助けを求めた。すると1台のはしご車がディンさんの居場所の真下に配置された。
フォンさんははしご車を運転していた際、ディンさんが高さ25mのトタン屋根の上ででん部と手足を火傷しながら救助を待っているのを発見し、安全ベルトや防火服もないままはしごを登ってディンさんを救出したのだった。