(C) zing, コン選手とタムさん 写真の拡大 |
(C) zing, 金メダル獲得の瞬間 写真の拡大 |
しかし、タムさんの家族は2人の恋愛に反対した。タムさんの両親は2人が会うことのないようタムさんを田舎に連れて帰り、コン選手はしばらくの間、精神的に落ち込んでしまった。長い間2人は連絡を取っていなかったが、2008年のテト(旧正月)前に突然、タムさんからコン選手に「両親があなたに会いに来てと言っている」という嬉しい電話があった。
突然のことで驚いたコン選手だったが、急いで北中部地方ゲアン省にある恋人の実家に向かった。コン選手の努力と信念、そしてタムさんの決意が実り、タムさんの両親の同意を得ることができた2人は晴れて結ばれることとなった。
過去の話を思い出しながら、タムさんの母グエン・ティ・クアンさんは教えてくれた。「2人が結婚の話をしているのを聞いたとき、私は多くを尋ねませんでした。娘が望んでいるなら、それに従うだけです。やりたいことはやり通すという娘の性格を知っていますから」。
2人が結婚する前の2007年のこと。パワーリフティングのトレーニングを開始してからわずか2年後に、コン選手は初の国際大会参加となったASEANパラゲームズ(ASEAN Para Games)の48kg級で、152.2kgを上げて金メダルを獲得する快挙を成し遂げていた。
結婚後も数々の成績を残したが、絶好調の最中、コン選手はバイクで交通事故に遭い、肩関節を損傷。2011年から2013年まで3年間の療養を余儀なくされた。そのため、2012年のパラリンピックに出場するチャンスを失ってしまった。試合に出場できないということは収入を得ることができないということ。若い夫婦の肩に現実が重くのしかかった。