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(C) zing, 金メダル獲得の瞬間 写真の拡大 |
リオ2016パラリンピック競技大会(第15回夏季大会)のパワーリフティング男子49kg級(運動機能障害)で、ベトナムのレ・バン・コン(Le Van Cong)選手(32歳)がベトナム史上初のパラリンピック金メダルを獲得した。
地元紙ジン(Zing)の記者と話している最中も、パラリンピック金メダリストの妻チュー・ティ・タム(Chu Thi Tam)さんはいまだ喜びに震えていた。友人や知人たちからお祝いの電話が殺到し、応じ続ける彼女の声はかすれているようだった。
コン選手は、北中部地方ハティン省出身。母親が妊娠中にデング熱にかかったため、両足に障害を持って生まれた。父に背負われながら学校に通う日々を経て、2005年にコン選手は運命に打ち勝つため、ハティン省を出てホーチミン市で仕事を始めた。
はじめは小さな木材工場で働いたが、収入が安定しなかったため、苦労しながらあちこちで仕事を探し、ついに自身が専門とする電子技術の仕事を見つけることができた。
当時、コン選手は仕事をしながら、タンビン区にある障害者向けの職業指導クラブにも通っていた。そこで入ったスポーツトレーニングクラブのあるコーチがコン選手を見て、パワーリフティングのトレーニングをするように勧めてくれた。この言葉が、コン選手の人生で最大の転機となった。
パワーリフティングと出会ったコン選手に、また別の大きな出会いが訪れた。ある日、コン選手は訪れていた友人の家で、後に妻となるタムさんと出会った。当時タムさんは17歳。程なくして2人の間には愛情が生まれた。しかしコン選手は自身の障害のため、なかなか思いを打ち明けることができなかったという。