(C) Bao Dau Tu, Gia Huy, ズンさん 写真の拡大 |
ハイタイン・コイ・ファーム(Hai Thanh Koi Farm)の会長兼社長のレ・フウ・ズンさんは、ホーチミン市の人々から「錦鯉の王」と呼ばれている。かつては領海や離島を守る海兵隊員だったが、1982年に除隊。現在はがんと闘いながら、次の夢を描いている。
ズンさんは北中部地方タインホア省出身だが、1982年の除隊時にホーチミン市で起業することを決めた。彼が故郷で起業しなかった理由は2つある。1つは、当時のタインホア省があまりにも貧しい地域だったから。もう1つは、海兵隊員だった時から海水魚の養殖で生計を立てたいと考えていたからだ。
ホーチミン市では生きるために様々な職に就いて絶えず動き回り、1989年にようやく最初のディスカス(観賞用熱帯魚の淡水魚)の養殖池が完成。夢が現実のものとして動き始めた。1993年には海水魚の養殖に切り替えて、ホーチミン市9区スオイティエン公園や11区ダムセン公園、南中部沿岸地方カインホア省ニャチャン市に水族館やウォーターパークを建設した。
錦鯉との出会いは2005年のことだ。その年、彼は子供と一緒に日本で開催された国際観賞魚展示会を訪れた。そこで、1匹数万~数十万USD(1万USD=約110万円)もの価値がついた美しい錦鯉に目を奪われた。人工的な条件下でうまく育てることができれば、錦鯉は体長1m以上、体重30kg以上になり、1匹あたりの価値は30万USD(約3300万円)にも上る。
「私たち親子はその展示会に何日も通い、錦鯉をベトナムに連れて帰る夢を抱き始めました」とズンさんは回想した。
ベトナムに帰国してすぐに彼はこのビジネスに取り掛かった。まず始めに、錦鯉の養殖地をホーチミン市に建設した。当時はまだ、ベトナムで錦鯉を養殖する人はいなかった。2006年、彼は親魚となる最初の錦鯉25匹を4万5000USD(約495万円)で輸入した。