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店の責任者で、この道38年の男性理髪師のダオ・スアン・タンさんは、女性理髪師たちは店の「宝」で、彼女たちの力あってこそ、男性理髪師も増えて、今日のマウジック理髪店があるのだと話す。
彼によると、かつてハノイには理髪店が数店しかなく、マウジック理髪店の外にも長い行列ができていた。初めは公務員が主な客だったが、後に需要に応えて様々な層の人たちを相手にするようになっていった。
「1970年代には理髪店の代金も非常に安く、1か月働いてもたったの36VND(現在のレートで約0.18円)にしかならなりませんでした。誰もが必死で働いていた頃だったので、夜遅くに髪を切りに来る人もいました。テトの大晦日、閉店までお客さんが途切れず、家に帰った頃には新年を迎えるカウントダウンが始まっていた年もありました」と、タンさんは懐かしそうに語った。
マウジック理髪店は、かつて国家元首や多くの国会議員らの髪を切っていた。1988年から1996年にかけてハノイ市共産党委員会の書記を務めていたファム・テー・ズエット(Pham The Duyet)氏は、ハノイ人の美しいイメージとして、国内外の人々の髪を切るこの店を保持していくよう管理会社に対して求めたという。
2012年には、世界各地の散髪について研究する日本人研究者が、マウジック理髪店を訪れた。この研究者は日本に帰国した後、理髪店に手紙を送った。手紙には、高貴な散髪のアイデンティティを保っていることに対する感謝と、末永く店が活動を続けていけるよう、皆を激励する言葉が書かれていたという。