![]() (C) zing, ニュンさんとアイロン ![]() |
![]() (C) zing, ニュンさんの店 ![]() |
ニュンさんは、フランス植民地時代に作られた、雄鶏の形をした鍵の付いた石炭アイロンを使っている。これは、フエさんの初代のアイロンと同じく、内側から石炭で温めるタイプだ。この仕事を始めた時に手元にあったのは、この「稼ぎ手」となるアイロンと定規と新聞紙だけだった。
「この手作業のラミネートの仕事で大事なことは、アイロンの温度を計ることと、芸術的に美しく仕上げることです。紙をラミネートするのにかかる時間は5分だけで簡単な作業ですが、私たちはそれがお客さんにとって大事な紙で、貴重なものだからこそラミネートするのだということをよく理解しています。何年も折りたたまれていた古い手紙や書類などは、特に慎重に作業します」とニュンさん。
ニュンさんは、「31年間、ラミネート用の熱いアイロンを持ち続け、不注意に触ってしまいやけどして指が赤く腫れてしまったこともあります。夜になるとひどく痛みましたが、何度もするともう慣れてしまって、今ではもう痛みを感じません」と語った。
この仕事で1番稼げたのは、10年前だったという。彼女たちは普段、1日に15万~20万VND(約806~1080円)を稼ぐ。しかし電動ラミネート機が登場してからコピー店やラミネート店が増え、アイロンを使ったラミネートは活躍の場を奪われている。
ニュンさんもまた、電動ラミネート機を購入したいと思っているが、まだ踏み切れない。「数十年間この石炭アイロンを使っているので、この手作業の仕事を続けていきたいとも思っているんです」。
アイロンでラミネートされた運転免許証は、ハイテクな機械を使用した場合と相違ないきれいな仕上がりで、耐久性も高い。料金は1枚たった5000VND(約26.9円)で、土地使用権証明書や戸籍証明書、ノートなどの大きなサイズにも7000~1万VND(約37.6~53.8円)で対応している。