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紅河デルタ地方ニンビン省にあるチャンアン生態観光区は、2014年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)からベトナム初の世界複合遺産に認定された。ここチャンアンの船乗り場には、観光客向けのレンタル船の船頭を生業とする1000人以上の女性がいる。
周辺に住む安定した職業のない中年女性は皆、生計を立てるために誘い合ってレンタル船の船頭をしている。彼女たちの仕事は早朝から始まり、夜遅くまで続く。毎回、力尽きるまで船を漕いでも、1回の報酬はたった15万VND(約830円)にしかならない。
日差しの強い真夏のチャンアン船乗り場に、観光客はまばらだ。川のたもとでは2000艘近くの小船が出番を待ち、川岸では青色の服を着た女性船頭グループが、日差しを避けるためそれぞれ散らばって木の下に座っている。観光客の少ない船乗り場は静かで、船頭の女性たちは「失業」状態だ。
管理会社は客をそれぞれの船に順番に乗せて分配しているが、観光客が少ないと、女性船頭たちは一日中船着場で客を待ち続けなければならない。古びたノンラーを静かに扇ぎながら、45歳のグエン・ティ・バンさんは「最近はお客さんが少な過ぎるんです。朝から晩まで待ってもなかなか来ません」と嘆く。
「普段はお客さんが来るまで待ち続けないといけないのですが、テト(旧正月)休みはお客さんが多く船の回りも早いです。最近は4、5回漕ぐことができましたが、大した稼ぎにはならないし、この暇さじゃ月末にはお金がなくなってしまいます」とバンさんは続けた。