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ハードな仕事の一方で、船頭の女性たちはしっかりと食事をとることもできない。1食分だと思えないほど、彼女たちの食事は少ない。冷えたごはん1杯とゆで卵だけだ。肉の脂身や野菜の茎でも食べられれば幸運だ。フランスパンしか食べていない女性もいる。食事の時間もまちまちで、船を漕いでいる間は食事が取れず、客が寺院を観光している間に急いで食べる。
バンさんやハインさん、ハンさんのような女性たち数百人が、10年近くこの船乗り場で船頭の仕事を続けている。船頭の女性のほとんどは、周辺に住んでいる貧しい農民だ。船は会社が供給してくれる。女性たちは毎回、飲み水、昼食、そして客が座るゴザの入った簡素なカゴを持って船に乗る。
訓練講習を受け、技能試験に合格して初めて船頭の仕事に就くことができる。彼女たちはまた、常に観光業とコミュニケーション技術についても勉強している。船を漕ぎながら、同時に観光名所についての案内もするためだ。
「大変だけど、楽しくもあります。お金を稼ぐほかに、毎回違うお客さんと出会うことができるからです。ここに来る人は皆チャンアンのことを知りたいと思って来ているので、私たちはお客さんにこの仕事や故郷の美しさを伝えることができます。お客さんもまた、自分の故郷や仕事、今まで行った土地の話などを聞かせてくれて、楽しい時間を過ごすと疲れも癒されます」とハンさんは語った。
チャンアン生態観光区は、面積2168ha。周囲を山と湖に囲まれたその景色は「陸のハロン湾」とも称される。また、18の省級遺跡、21の国家級遺跡、2の特別国家級遺跡が存在し、968年から980年までベトナム北部を支配した丁(ディン)朝が都を置いたホアルー遺跡や、東南アジア最大規模を誇るバイディン寺がある。