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南中部沿岸地方クアンガイ省ビンソン郡ビンタイン村サカン港には、竹製の丸いかご舟を手で漕いで、沖の漁船へ荷物を運送している女性たちがいる。彼女たちは漁師から「タクシーおばさん」と呼ばれて親しまれている。荷物を運ぶだけの単純な仕事だが、彼女たちの収入は決して少なくない。
このかご舟は、ベトナム語でトゥエントゥン(thuyen thung)という。竹を編んで、防水のために牛糞を混ぜたもので表面全体を塗り固めただけの簡素な作りだが、手漕ぎでかなり沖まで行くことができる。
サカン港の漁師で「タクシーおばさん」の電話番号を知らない人はいない。沖に出た漁船で、弁当やコーヒー、タバコなどが欲しくなった時や人手が必要な時、この「タクシーおばさん」に電話をかければ、あっという間に依頼した物や人がかご舟で運ばれて来る。
沖で漁船の修理をしていたある漁師は、おもむろに携帯電話を取り出し「タクシーおばさん」に電話をかけた。「釘8kgとネジ3kgを頼む。あと弁当を33人分よろしく。」そして15分後、「タクシーおばさん」はかご舟を漕いで、漁師の依頼したものを運んで来た。