(C) infonet |
10月31日午後、ハノイ市のホン川に架かるチュオンズオン橋では、多くのドライバーたちが車を止めて1人の交通警察官と固い握手を交わし、別れを惜しんでいた。
この日は、ハノイ市警察第1交通警察隊レ・ドゥック・ドアン大佐の約40年にわたる警察官人生最後の1日だった。いつものように出勤したドアン大佐は、いつものようにきっちりと制服を着込み、いつものようにチュオンズオン橋の入り口に立った。
ドアン大佐は紅河デルタ地方ナムディン省イーイエン郡出身。旧ソ連に留学した後ベトナムへ帰国し、1977年にハノイ市警察の警察官となった。ドアン大佐は警察官人生約40年のうち約20年もの間、チュオンズオン橋の交通整理に従事してきた。この橋を毎日通る市民の中で、ドアン大佐のことを知らない人はいない。目は穏やかで、物腰は丁寧、通りがかる人の疲れを癒すように手を振るその姿は、親しみやすいドアン大佐の美徳だ。
警察官人生最後の1日、ドアン大佐の心の中には、言葉では言い表すことのできない様々な感情が渦巻いていた。ドアン大佐は「私にとってチュオンズオン橋は、たくさんの思い出が詰まった場所です。約20年、毎日毎日同じところに立って、人々がスムーズに行き来できるよう交通整理をしてきました」と感慨深げに語った。