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彼もお金を頑として受け取ろうとしなかったので、それ以来、老婆は顔を見せなくなったのだ。「お婆さんの身になって考えるべきでした。施しなんて望んでいなかったのに・・・今も心が痛んでいます」ホアさんは悲しそうに語った。
話している間にも、米袋を担いだ浅黒い肌の小柄な男性が、子どもの手を引きながら店に入っていった。片手には宝くじの束が握られている。男性はホアさんを見つけると、笑顔で駆け寄ってきた。「そんな米袋もって景気がいいね。今朝はたくさん売れたのかい?」ホアさんがそう聞くと、「いやあ、5万ドン(約244円)だけだよ。この米はお店で使ってもらおうと思ってね。正月も近いことだし、何かと入用だろ?」男性はそう切り返す。
ホアさんによると、その男性は店の馴染みの客だという。彼は毎日、小児麻痺の子どもを連れて宝くじを売り歩く。大勢の人が親子を哀れんでお金を渡そうとしたが、彼は丁重に断っているという。「子どもを養っていくぐらいには稼いでいるし、何もせず人のお金をもらうなんてことはできないよ」彼は笑顔でそう言った。
この店に来る人は誰もが貧しいが、決して施しを受けようとはしない。88歳になる常連客のバナナ売りの老婆も毎回きっちり5000ドンを支払い、値切るようなことはしない。時々店に来る行商人の女性は、店に野菜や水を分けてくれるという。