(C) laodong, チー・ドゥック氏 写真の拡大 |
しかし、最も大変だったのは、描く技法についてだったとドゥック氏は語る。「サンドアートは砂で絵を描くということに留まらず、砂を使って『表現』するものです。手のひらに砂を扱う感覚がないといけません。そっとガラスの上に砂を滑らせて思いどおりに描いたり、砂の量を適量に調節したり、毎日の練習が欠かせません」
練習を始めてから1年が過ぎた頃、ようやく成功と言えるものが完成した。そんな時、幸運にも、LED液晶画面を紹介するためのデモンストレーションの依頼が舞い込んだ。これが予想外の大反響を呼ぶことになる。
さらに、2010年初めには、あるミスコンテストの司会として招かれる。これは全く新しい大胆な試みで、サンドアーティストがプログラムをサンドアートによって導くというものだった。彼は各演目が終わるごとにサンドアートを披露し、観客の度肝を抜いた。この成功以降、彼は大きな芸術プログラムにも度々招かれるようになった。2012年のミスベトナム・コンテストもその一つだ。
「これほど大きなコンテストに招かれたのは初めてだったので、とても楽しみにしていました。コンテスト全体に私の絵が調和するように、入念に準備しました。おかげで評判は上々で、皆さんから賞賛の言葉をかけて頂きました」
既に多くの成功を収めた彼だが、さらなる目標があるという。「残念ながらサンドアートはまだ芸術として確固たる地位を築いているとは言えません。多くの人が単なる娯楽にすぎないと考えています。サンドアートが一つの芸術として認められ、美術学校でも科目に加えられるように力を尽くしていきたいと思います」