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メコンデルタ地方ドンタップ省ビンタイン工業団地にあるフンカー株式会社は、チャ魚やバサ魚(共にナマズの一種)を養殖、加工し輸出する国内の大企業として知られる。ドンタップ省ホングー郡の貧困家庭に生まれてから成功するまでのチャン・バン・フン会長(54歳)の足跡をたどる。
フン氏が生まれてからしばらくは家も土地もなく、両親はフン氏を連れて寺や集会所を泊まり歩いていた。唯一の財産は魚網だけで、エビを捕っては日銭を稼ぐ暮らしだった。フン氏は学校をやめ、淡水魚を捕って生計を立てようと決意する。カンボジアに渡り、トンレサップ湖で魚を捕っていたクメール人の漁民の元で修行を積んだ。
魚群の通り道の予測、捕った魚の保存や加工の方法などを身に付け、やがて40メートル離れていても水面に現われさえすれば、魚の種類を見分けることができるようになった。賃金の一部は両親に送金し、できるだけ節約して残りで金(きん)を買った。数年で約30テール(1.125キロ)の金が溜まったので、自分の漁船を購入し引き続き仕事に励んだ。
約1000テール(37.5キロ)まで金が溜まった時、フン氏は故郷のドンタップ省に帰ってチャ魚を養殖することを決断する。種魚選びを慎重に行い、餌を与える時間や量を調節して余った餌で水が汚れないように工夫し、誰もケチをつけられないような品質のチャ魚を養殖できるようになった。